オンライン時代の不動産決済手続Q&A
                                                                                         平成18年7月10日   
                                司法書士法人神戸合同事務所
                                 (旧 安田合同事務所)



不動産登記「登記識別情報解説」


   実務上重要だとおもわれる用語等を中心にあげてみました。日々の業務におきまして、
  わかりにくい用語がございましたら、何なりとお問い合わせくださいませ。
  なお、不動産の売主さんから売却ご依頼があった際、当初の確認ポイントとご提案を末尾
  にあげてみましたのでご検討くださいませ。

Q1.「オンライン庁」とは一体、何のことをさしているのですか?
A1.まず、現在ある法務局は大きく2つのタイプに分けられます。

  
 ・通称「ブック庁」 昔ながらの手書き・縦書きの登記簿冊を使用し、登記簿謄本
    を請求すると登記簿冊が複写されたものが発行される法務局。
    (兵庫県内では、柏原支局が該当します。)    
   ・通称「コンピューター庁」事務効率化により、情報がコンピューターで管理さ
    れ、登記簿謄本(登記事項証明書)を請求すると、通常見慣れている横書きで
    登記事項が記載されたものが発行される法務局。

     さらに、このコンピューター庁のうち、法務省により、「登記申請を個人のパソコン
   からデータ送信の方式により行うことができる。(オンライン申請)」という指定を受
   けた法務局を「オンライン指定庁」と呼んでいます。


Q2.オンライン指定庁では、登記はオンライン方式でしか申請できないのですか?
A2.書面での申請も可能ですので、取引場所で司法書士が売主さん・買主さんから書類を
   預かり、委任状等に押印や署名をもらう従来の取引方式を変更する必要はありません。

Q3.オンライン指定庁となることにより他に新しくなる制度をおしえてください。

A3.実務上大変重要な点は、オンライン指定庁においては、登記申請方式を問わず、従来
   登記完了後に作成されていた登記済証(権利書)の制度が廃止され、それにかわる登
   記識別情報の通知制度が創設されたとのことです。
   (「権利書がなくなる?」と騒がれたのはこのためです。)

Q4.オンライン指定庁となると今ある登記済証(権利書)は無効になるのでしょうか?

A4.所持している登記済証が不要・無効になるということではありません
   オンライン指定庁であるか、未指定庁であるかにかかわらず、通常は今ある登記済証
   を司法書士が預かり、登記申請をすることになりますので、司法書士の説明を受けて
   大切に保管してください。
   (法務局が無効だと言って回収にくるようなことは絶対にありません。)

Q5.登記識別情報とはどのようなものでしょうか?

A5.「登記識別情報」とは、英数字12桁の組み合わせの暗証番号(パスワード)であり、
   登記完了後に司法書士から登記識別情報通知(書)というA4の用紙に番号部分に目
   隠しシールが施されている法務局作成の書面が、登記識別情報の個数分買主さんに渡
   されます。将来この不動産を売却したり、担保を設定する場合に、司法書士が登記申
   請時に確認することになります。
     「登記識別情報」のイメージ「174−A23−CBX−53G」
    (なお、登記識別情報の個数と不動産の数は必ずしも一致しません。)
     例)夫婦共有名義で 宅地、建物の2個の不動産を購入すると、各人に2個の
       登記識別情報が通知され、合計4個(不動産2個×共有者2人)の登記識
       別情報通知書が発行されることになります。
 このように複数の不動産を登記する場合は、登記完了後の登記識別情報(パスワード)の数
 も増えますので、管理にご注意ください。

 補足説明 「権利書」と「登記識別情報」の違い
 「権利書」
 ・ 唯一性がある。(証書そのものが重要で世界に一つしか存在しない)
 ・ 登記簿の受付番号と照合することにより、本物又は有効かどうかを確認することがで
  きる。
 「登記識別情報」
 ・ あくまでも情報(パスワード)である。
  →他人に見られた(メモ又はコピーをとられた)だけで、権利書を盗まれたのと同様の
   こととなる。(パスワードが正しければ、そのパスワードをたとえメモ用紙に記載し、
   法務局に登記を申請しても登記申請は正式に処理される)
 ・ 登記簿と照合しても、登記識別情報が本物又は有効かどうかわからない。

取引の安全(円滑な登記申請)の為、法務局に対して有効なパスワードかどうかを司法
書士が、問い合わせることにより確認することになります。
                    (有効性確認制度・用語説明参照のこと)


Q6.登記識別情報の失効制度について教えてください。

A6.登記識別情報の通知を受けた不動産の所有者本人や司法書士の請求により、当該登記
   識別情報を失効させること(つまり、パスワードを無効にして次回の登記申請に使用
   できなくすること)ができる制度です。

Q7.パスワード(登記識別情報)を無効(失効)にするのは、何故ですか?

A7.登記識別情報が記載された書面を紛失してパスワードがわからなくなってしまった場
   合、書面自体は手元にあるものの他人に盗み見されたおそれがある場合、さらに、将
   来このような場合が起こることを不安視する場合に失効制度の利用を検討します。こ
   の制度は第三者がパスワードを悪用して勝手に不動産の名義をかえられることを防止
   することを目的にしています。紛失等が判明した場合は当所にご連絡ください。




 用語説明 

      登記識別情報の有効性確認制度とは、

   登記識別情報は前述のとおり単なる英数字の組合せ(パスワード)ですので、有効性
   (失効の有無)は管理する法務局にしかわかりません。つまり、有効性を確認せず、失
   効した登記識別情報を使用して登記申請をすると却下されてしまう可能性があります。
   そこで、司法書士は登記申請手続きにあたり登記識別情報が有効か否かを確認するた
   め、事前に法務局で有効性の証明請求手続き(登記識別情報1個につき300 円)をす
   ることを要求します。有効証明請求は司法書士であっても職権で行うことが できず、
   登記名義人の委任状や印鑑証明書等が必要となります。取引の前提として、これらの
   書類を入手するためには、一般のお客様に対して十分な説明が必要となると 思われま
   す。

      
司法書士による本人確認制度
   権利書を紛失していたり、登記識別情報が失効等の理由により、権利書や登記識別情
   報を登記申請に使用できない場合は、司法書士が事前に売主さんと面談して、不動産
   を売却するのは売主さん本人である旨の報告書を作成し、売主さんの身分証明書の写
   しと一緒に法務局に提出して、権利書や登記識別情報に代える制度。



 以上、オンライン指定庁となった場合の変更点、不動産決済手続についてのご提案をさせ
ていただきました。専門用語が多く読みにくい文章であったことをお詫びいたします。
どんな些細なことでも結構ですので、ご相談くださいませ。


       
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