不動産取引及び融資の事前の準備が大変に!!        
法務局のオンライン指定後の不動産実務のご案内

不動産オンライン庁指定年月日(但し神戸市周辺)
神戸地方法務局 本局(兵庫区、中央区、灘区)   平成18年2月27日
   同    須磨出張所(須磨区、長田区)   平成18年4月24日
   同    西宮支局(西宮市)        平成19年2月 5日
   同    明石支局(西区、明石市、三木市) 平成19年3月12日
   同    
北出張所(北区)         平成19年8月27日



オンライン庁指定後の手続きの変更点

1 登記識別情報の通知
 
オンライン指定庁において 従来、登記名義人となった者(買主、抵当権者等)に交付さ
れていた
登記済証(権利書)の制度は廃止され、その代わりのものとして、12桁の英数字
の組合せによる
登記識別情報(パスワード)が通知されることになります。その者が次回の
登記申請人(売主、抵当権設定者、抵当権抹消の場合の抵当権者等)として登記を申請する
ときは、今までの登記済証(権利書)の代わりに、法務局にその登記識別情報を提供しなけ
ればなりません。

 ※「登記識別情報」のイメージ   174−A23−CBX−53G

 ※
「権利書」と「登記識別情報」の違い
  
 「権利書」
  ・ 唯一性がある(世界に一つしか存在しない)
  ・ 登記簿の受付番号と照合することにより、本物又は有効かどうかを確認できる

  「登記識別情報」
  ・ あくまでも
情報(パスワードである
     →他人に見られた(メモ又はコピーをとられた)だけで、
権利書を盗まれたのと同
      様
の事となる
  ・ 
記簿と照合しても、登記識別情報が本物又は有効かどうかわからない
     →管轄法務局にしかわからない
     →
取引の前に法務局に有効かどうかの確認をする必要がある(後述)

 この登記識別情報は、不動産ごと、登記名義人ごとに個別に交付されます。例えば、夫婦
共有名義で土地、建物を購入したケースでは、夫婦それぞれに土地と建物の2個の登記識別
情報が通知されるため、計4個の登記識別情報が通知されることになります。後日、当該不
動産を売却したり、抵当権等を設定する場合は、この4個の登記識別情報を法務局に提供す
ることになります。もし、
登記識別情報が提供できない場合は、司法書士による本人確認
制度
か事前通知制度を利用することになります(現行の権利書がない場合と同じ)。
 
 尚、誤解を生じやすいのですが、
オンライン庁指定後も現在所持している権利書が無効に
なるわけでなく、権利を有している限り有効なものとして存在し続けます

 以下の事例で説明いたします。

(事例)
@H18.1/10 甲がA土地を購入
AH18.1/20 X銀行がA土地に抵当権を設定
BH18.2/27 A土地の管轄法務局がオンライン庁に指定
CH18.3/1  甲がA土地上にB建物を建築し所有権保存登記を申請
DH18.3/10 X銀行がB建物に抵当権を追加設定
EH18.3/20 甲が乙にA土地B建物を売却
  ・@の登記完了後、甲には登記済証(権利書)が交付され、その権利書はEで売却する
   までは有効(現行どおり)
  ・Aの登記完了後、X銀行には登記済証が交付され、その登記済証は抹消されるまで有
   効(現行どおり)
  ・Cの登記完了後、甲に登記識別情報が交付される
  ・Dの際、甲はB建物の登記識別情報を提供する
  ・Dの登記完了後、X銀行に登記識別情報が交付される
  ・Eの際、甲は
A土地については権利書を提出し、B建物については登記識別情報
   
提供する
  ・Eの際に抵当権を抹消する場合、X銀行は
A土地については登記済証を提出し、B建
   物については登記識別情報
を提供する
  ・Eの登記完了後、乙に登記識別情報が交付される(以降、すべて登記識別情報を提供す
   ることになる)


  
従って、対象の不動産を管轄する法務局が、いつからオンライン庁に指定されたかにより、
 権利書と登記識別情報のどちらが必要になるのか異なることになります。よって、管轄
 法務局がいつオンライン庁になったかを確認しておく
必要があります。



2 オンライン庁指定後に行う取引実務について
 (1)売買取引について[不動産業者様]

  まず、対象の不動産の売却に権利書を使うことになるのか、それとも登記識別情報を
 使うことになるのかを確認する必要があります。
 登記簿の売主の所有権の登記が前記の不動産オンライン庁指定年月日より前の受付年月日
であれば、従前のとおり権利書を使った取引、オンライン指定年月日以降の受付年月日であ
れば登記識別情報を使った取引になります(土地と建物の登記受付年月日が違う場合がある
ので注意)。
 
  権利書を使う取引の場合は現行どおりです(以下の事項は不要)。
 
  登記識別情報を使う取引の場合は、
決済日時より前に管轄法務局に対して、その登記
  識別情報が有効かどうかを確認する必要があります

 

 ※登記識別情報の有効証明請求制度
 登記識別情報は前述のとおり単なる英数字の組合せ(パスワード)ですので、有効性(失
 効の有無)は管理する法務局にしかわかりません。そこで代理人(司法書士)は登記申請
 手続きにあたり登記識別情報が有効か否かを確認するため、法務局で有効性の証明請求(
 有料 登記識別情報1個につき300円)をすることになります。
 必要書類として、
         @
登記識別情報を記載した書面(通知書のコピー等
         A売主(登記名義人)の
印鑑証明書(発行後3ヶ月以内のもの)
         B売主が法人の場合は資格証明書(発行後3ヶ月以内のもの)
         C住所変更している場合は住民票等 
         D代理人により申出をする場合は
(登記用とは別に)有効証明請求につ
          いての委任状(実印を押印

 
が必要となります。

 しかし、上記のとおり登記識別情報の有効証明請求は司法書士であっても職権で行うこと
ができず、売主の登記識別情報、委任状(実印押印)、印鑑証明書(原本還付可ですので引
続き取引にも流用できます)等が必要となります。
決済が行われていない段階で、これらの
書類を売主から入手することについては、売主が不安を抱いたり、ときには抵抗を受けるこ
とも予想されますので、充分説明する必要があります

 どうしても納得を得られず事前に入手が困難な場合は、@司法書士が決済現場で登記識別
情報を預かり、その足で法務局に有効確認のために移動し、有効性が確認できた後代金決済
する(但し、決済時間が相当余分にかかります)、又はA司法書士の本人確認制度を利用し
て決済に臨む(但し、費用が余分にかかります)等の方法が考えられます。

  
  上記のとおり登記識別情報の有効確認ができれば、決済に臨むことができます。しか
  し、困ったことに登記識別情報は売主によって
いつでも失効させることができます。
 ※登記識別情報の失効制度
  登記識別情報の通知を受けた登記名義人の請求により、当該登記識別情報を失効させる
  ことができます。登記識別情報はパスワードにすぎないので、忘れたり(失念)、他人
  に容易に知られるおそれがあります。また、従来の権利書のように物理的な物ではない
  ので、他人に知られたかどうかは気がつかないことが多いため、管理の困難性を考慮し、
  自ら失効させる制度を設けたものです。この失効制度は登記の申請と関係なくいつでも
  行うことができます。

 そこで、恐ろしいのは取引終了後司法書士が登記申請するまでの間に売主が登記識別情
を失効させた場合(100%ないとは言い切れません)で、このままでは登記をすることがで
きなくなります。この場合、司法書士による本人確認制度を利用せざるをえませんが、本人
確認制度は、司法書士が本人確認資料(運転免許証やパスポート等)に基づき、面談による
本人確認をした上でなければ、本人確認情報書類を作成することはできません。従って、今
後の取引においては、
たとえ登記識別情報があったとしても、司法書士は必ず事前に又は取
引現場で売主本人と面談し且つ上記の身分証明書を提示いただく
ことになるかと思われます。


 (2)(根)抵当権設定について[金融機関様]

  
まず、対象の不動産の担保設定に権利書を使うことになるのか、それとも登記識別情
  報を使うことになるのかを確認する必要があります

   登記簿の設定者の所有権の登記が前記の不動産オンライン庁指定年月日
より前の受付
  年月日であれば、従前のとおり権利書を使った取引、オンライン指定年月日
以降の受付
  年月日であれば登記識別情報を使った取引になります(土地と建物の登記受付年月日が
  違う場合があるので注意)。
 
 2
 権利書を使う取引の場合は現行どおりです(以下の事項は不要)。
 
 3
 登記識別情報を使う取引の場合は、
融資実行日時より前に管轄法務局に対して、その
  登記識別情報が有効かどうかを確認する必要があります(前述2(1)3※登記識別情
  報の有効証明請求制度
参照)
。しかし、前述のとおり、登記識別情報の有効証明請求は
  司法書士であっても職権で行うことができません。従って、
事前に設定者の登記識別情
  報、委任状(実印押印)、印鑑証明書(原本還付可ですので引続き登記にも流用できます)
  等を手配していただく必要があります

   また、融資実行前に設定者が登記識別情報を失効させた場合(100%ないとは言い
  切れません、前述2(1)4※登記識別情報の失効制度参照)、登記ができなくなりま
  すが、それに対処するには
   @登記申請の受理証明書のFAX等
登記申請した旨の連絡後に融資実行する(登記申
    請直前に登記識別情報の有効性確認をすることができる)。

   
A(借換え等で)登記申請前に融資実行をする場合、司法書士が契約・押印時等に立
    会うなど、事前に司法書士が設定者に面談し且つ身分証明書を提示いただき、あら
    かじめ本人確認情報作成に必要な資料を確保
しておく。
  
等が考えられますが、そこは設定者との信頼関係の程度によるかと思われます。
 
 4
 買主に対する融資で、所有権移転登記と同時に申請する場合は現行どおりです。


(3)(根)抵当権抹消について[金融機関様]
 
 抵当権者が登記済証を所持している場合は現行どおりです(以下の事項は不要)。
 
 2
 抵当権者が登記識別情報を所持している場合で
   @売買又は借換えによる抹消の場合

    
取引又は借換え日時より前に管轄法務局に対して、その登記識別情報が有効かどう
   かを確認する必要があります
。しかし、前述のとおり、登記識別情報の有効証明請求
   は司法書士であっても職権で行うことができませんので、
事前に抵当権者の登記識別
   情報、委任状(実印押印)、印鑑証明書(原本還付可)、資格証明書(原本還付可)
   等を用意していただく必要があります

  
 A単発の抹消の場合
    事前に登記識別情報の有効性の確認までする必要はないかと思われますが、もし登
   記識別情報の失効等により登記ができないときは、事前通知又は司法書士の本人確認
   制度に協力していただくことになります。

  以上、ご不明点がございましたら、遠慮なくお問い合わせください。



司法書士法人神戸合同事務所
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           TEL078-592-0556/FAX078-591-0011
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